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ジョブズが否定?

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よく「ジョブズは〜を否定していたし、彼ならこうはしなかったのに」とか「ジョブズが否定していたけど〜は売れた。この人に先見の明なんてない」とか言う人がいるけど、くだらない。

例えば、ジョブズが「7 インチタブレットを使うぐらいなら指を削るべきだ」と発言していたから後に登場した iPad mini はジョブズの意向ではないという意見。
そもそも iPad mini のスクリーンに対する UI 部品のサイズはそれまでの iPhone とほぼ同じなのだ!理屈としておかしいことにまず気づくべき。

そして過去のジョブズの発言を振り返るときも、以下のようなことは考えた方がいいと思う。

1. メディアへの発言内容と実際の開発方針は違う

まずこれを理解せずに記者に語った言葉を引用して「ジョブズが否定していたのに」なんて言ってるのは論外。

2. その時点で Apple が出している製品が最高であり、それ以外は“クソ”

次の製品を発表するまで、メディアやユーザに対してはその時点の製品が最高に見えるような発言しかしない。そして実際には検討しているアイデアであっても、他社の同ジャンル製品を否定できるなら前述の「指を削る」のような発言を平気でする。それがジョブズ。

それでもそんな“ジョブズ節”の数々がファンの心理を巧みに操っていたのだ。それは Mac の CPU が PowerPC から Intel に変更されるのを経験しているユーザならわかるはず。特に技術に詳しいわけでもないユーザの脳内に PowerPC という CPU への信仰心(!)まで生み出しつつ、彼らの前では悪口しか言わなかった Intel CPU への変更は常に視野に入れていたのだ。

3. 予想外の発表をして人々を驚かせたい

そんな気持ちがあるから余計に 2 だし、必要以上な秘密主義を徹底していたのだ。人には譲れないジョブズの快感。未来の製品で採用しているアイデアの肯定なんてするわけがない。

4. アイデアの欠陥は克服できる

「否定=採用しない」ではない。ある要素を採用している他社製品を否定しても、別のアイデアを組み合わせることでその欠陥が解消できれば採用する可能性も十分にある。

5. 今日ひどく見えるアイデアも、時間が経てば印象が変わることも

ジョブズだって人間。当然これはある。

そして彼はいいアイデアに見えてからの方針転換は早いらしい。それどころか、ひどくけなした社員のアイデアを数日後には「いいアイデアを思いついた!」なんて言っていたというエピソードも。

6. 製品開発で否定するアイデアも永遠に捨てるわけではない

選択と集中、その失敗で得られるものを過去に捨てたアイデアと組み合わせれば化けることもあるし、時代が変わることにによって活きてくるアイデアもある。ある時点で否定しても、永遠に否定し続けるつもりなんてないのだ。

7. アイデアに固執しない

ジョブズの頭の中にすべてのアイデアに対する不変な YES / NO リストがあると思っているような人が多いけど、むしろその逆だと思う。

いまでは信じられないけど、iPhone が発表されるまえ、ファンが作った iPhone 予想図の多くにはタッチスクリーンの中に iPod と同じホイールが表示されていた。

一度成功したアイデアであっても客観的に一歩引いて見ることができるから時代に合わせて数多くの製品を世の中に送り出すことができたのだし、ジョブズの強みだと思う。それができる人は意外に少ない。

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...ジョブズが一度否定しただけであとからあれこれ言うのは実にくだらない。

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