ひ to り go と

最高の卓上音楽プレーヤーは第三世代 iPod だと思う

MacHard

突然だけど告白。第三世代 iPod が好きだ。多くの人には“Apple 黒歴史”として見られる iPod 3。人々の評価が低い理由はわかるけど、それは歩きながら使う携帯音楽プレーヤーとして。卓上で使う場合は話が違ってくるのだ。

理由 1:標準で付属する Dock

今 iPod を買うと付属するのは Lightning ケーブルとイヤホンぐらいだけど、当時は違った:

  • FireWire ケーブル
  • イヤホン
  • リモコン
  • iTunes(Mac)や MUSICMATCH Jukebox Plus(Windows)のインストール CD
  • ベルトクリップ付きキャリングケース
  • FireWire 充電アダプタ
  • Dock

USB の代わりに FireWire だったりインストール CD が付属するのは時代を感じるとして、Dock が付属するのは重要。登場したのも付属するのもこの第三世代からであり、このモデルの重要なポイントでもある。

iPod の登場もあり、Apple の思惑通り iTunes 中心の音楽ライフになった Mac ユーザが増えてきた。まだ AirPlay できる AirPort Express や Apple TV がなかった当時、そんな人々が据え置きのステレオで音楽を聴くときに使っていたのは Mac だった。しかし音楽を聴くだけの用途には大げさである。

Apple は携帯音楽プレーヤーとしての完成度が高まった iPod をそのカテゴリにも投入したのだ。iTunes ライブラリを丸ごと外に持ち出す("iTunes to go")というコンセプトで登場した iPod が、Dock によって家の中でも活躍するようになる。

家中の CD を詰め込んだ iPod を外に持ち出し、帰ってきたら Dock に置く。あらかじめ Dock にスピーカーや充電アダプタをつないでおけば、イヤホンで聴いてた続きがそこで再生され、充電もしてくれる。Mac につながっているなら自動的に足りない曲を選んで転送してくれたり。こんなの今では珍しくないけど、当時は感動したし自分の音楽の聴き方を大きく変えてくれた。

ずっと巨大なスクリーンでありながら鉛筆より薄い端末が当たり前のように存在する今になって改めてこの iPod を触るとどうしても重さや厚さに時代を感じてしまうけど、Dock で使うには逆に安心感がある。触ったときにグラグラしないのから気持ちいい。

理由 2:押す必要がない

ホイールの上に 4 つのボタンが並ぶデザインは第三世代だけ。わかるよ、確かにクリックホイールの方がスタイリッシュだし、指の移動量が少なくて済む配置も使いやすい。

しかもこのボタンは機械式ではなく、トラックパッドやタッチパネルみたいに静電容量式。iPod をポケットから取り出して手に持った瞬間など、一瞬指が触れただけでも次の曲に変わってしまったりして「触れたつもりないのに!」と非常にストレスを感じる。ホイールの中心にあるボタンも同様。スリープして画面が消えていても指が触れれば起動してしまうので、少し手で握っていようと思うだけでもロック必須。こんなの携帯音楽プレーヤーとしてはひどい使い心地だ。...携帯音楽プレーヤーとしては。

これは Dock で使うと化けるのだ。

前述の通り、どのボタンも軽く触れるだけで反応する。手持ちだとデメリットの方が大きいのだけど Dock に置いたときはそれが快適さにつながる。

巨大で重い装置であれば気軽にポチポチ押してもビクともしないけど、iPod の場合は Dock が支えているとはいえ本体は薄くて軽い板なので、ボタンを物理的に押し込もうとするとほかの指で本体を支える必要が出てくるしそれによって手を伸ばす距離も伸びる。それがこの第三世代なら、指一本だけでスラスラ操作できてしまう。

最近の iPod nano や iPod touch ならタッチパネルだから同様では?と思うかもしれないけど、スリープ解除には物理的にボタンを押し込まなくてはいけない。この iPod では触れるだけでスリープ解除できるので「聴こう」と思い立ったときのハードルがとても低い。

理由 3:白黒液晶

何よりも重要なのが、ディスプレイが白黒液晶であることだ。初期は白黒液晶を採用していた iPod だけど、アルバムアートワークや写真をカラーで表示できる iPod photo が登場し、iPod nano や iPod 5 以降はすべてカラー液晶になり、今では腕時計型の Apple Watch ですらカラーディスプレイを採用。白黒液晶を採用した Apple 製品なんて一つもない。

↑ 第五世代(左)と第三世代(右)

カラー液晶によって UI は豪華になったし、アートワークを表示できるどころかビデオを当たり前のように再生できる時代がやってきた。カラー液晶は美しいし見やすい。...ただし条件がある。バックライトが点灯している間に限るのだ。暗くなったカラー液晶は全然見えない。

ちょっと画面を見たくてもデバイスに触れてバックライトを点灯させないといけない。かといって付けっぱなしにすると電池が減る。たとえ机の上で電源供給していても、たまに曲名を見る目的のためだけに常時点灯させるのはもったいないし視界の中に光るものがあると気を取られてしまう。

白黒液晶なら、バックライトを点灯させなくても部屋の明かりだけでしっかり読めるのだ。これはとても大きい。見やすい画面がいつもそこにある。見たいときに見ればいいし、目立ちすぎることもない。そんな利点があるので、カラー液晶に進化した iPod 5 を手に入れたあとも机の上には常に iPod 3 があった。

この iPod の登場から 10 年以上経った今でも、人々は手元の iPad で Kindle App が使えるにもかかわらずわざわざ白黒表示しかできない Kindle を別に購入したりする。まだまだカラー液晶は万能ではない。

引退した理由

そんなわけで、机の上で使う iPod といったら個人的には第三世代しか考えられない。外出時だけでなく家の中でも...と欲張りすぎたせいか携帯音楽プレーヤーとしての使い心地は犠牲になってしまったけど、卓上音楽プレーヤーとしてここまで力が入っているのは後にも先にもこの iPod だけ。

当時、アクティブスピーカーをつないだ Dock を机の上に置いて、外よりもそこで使う時間の方が長かったのを思い出す。

電源さえ繋げば 2015 年の今でも元気に動いてくれるものの、残念ながら現役ではない。現在机で音楽を聴くときは iPod でも iPhone でもなく Mac を使ってる。

Mac の周囲にもっと音質のいい環境を構築したからというのもあるけど、そこまで重要ではない。何よりも大きな理由は古いソフトウェアだ。30 GB しかない容量は分解してハードディスクを交換すればどうにでもなるけど、ソフトウェアはどうしようもない。

アーティストの代わりにアルバムアーティストでまとめる機能がないからアーティストが一覧表示したときに散らばってしまうし、ギャップレス再生にも対応していない。そして選曲に関しては Mac のリッチな画面に並んだジャケットを見ながらやる方が楽しい。

...そんな理由でもう現役ではなくなったけど、今の Apple 製音楽プレーヤーにはない魅力があるのでときどき振り返りたくなるのだ。あなたにとって最高の iPod はどれですか?

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